隕石衝突クレーターとインドの隕石痕

ロナー(北緯19°58´ : 東経76°31´)の隕石衝突クレーターとインド亜大陸のRamgarh

(北緯25°20´ : 東経76°37´30)のシバの隕石痕の詳細が研究され、その意義深い姿が明らかにされた。30余年にわたる研究で、Maharashtra Buldhana地方のロナーのクレーターは隕石衝突によって出来たものであると認められた。直径1830m、深さ150mのロナーのクレータには浅い岩塩湖があり、クレタ始新生時代唯一の陸上玄武岩衝突火口である。それは月面クレーターと酷似している。調査対象の玄武岩の特徴(性質)、つまり衝撃による程度の異なる変形、衝撃を受けたものとそうでないものの特徴、大小の角礫岩、ガラス小球、インパクタイトなどがロナーのクレーターが衝撃によって出来たものであることを証明している。衝撃による変形の特徴は惑星における月のクレーターと相互関係を示す。これらのロナークレーターと月面クレーターの比較研究は地球外惑星地層科学の神秘のみならず、太陽系の進化の研究にいたるまで役立つものである。

 

Ramgarhの隕石孔

Rajasthan,Kota地方Ramgarhにある壮観な環状のクレーターはVindhyan Supergroup岩の後原生代Bhander Group16平方`に及んでいる。外周4km、深さと直径の比率は0.05、盛り上がった縁の高さは200mで、逆ドーム状の?!傾斜地形、岩の隆起などが観察されている。このなぞの正体の起源はいまだ議論のテーマとなっている。数々の見解や提案は折に触れて提示されてきた。隕石衝突、キンバーライトと炭素滲入、地殻変動、地殻変動と火山活動の複合活動、陥没、内部での火山活動、ドームなどがそれにあたる。Ramgarhの隕石孔の構成に関するこれらの説明は主に地質学、地形学、岩相層序および構成の特徴に基づくものである。されにこの隕石孔は宇宙飛行士ガイド(Astronaut’s Guide)のなかで、ランドサルトから臨む画像で、中央に小規模のピークのある環状の丘をもつ衝突クレーターとして紹介されている。Balasundaram DubeCrawfordが提唱する隕石衝撃による剪断破壊、造粒、石英粒の異常複屈折などを認めた。しかし、隕石衝撃と決定づけるには不十分で、現在では「Ramgarh隕石孔」といわれている。綿密に計画された多岐に渉る学問分野での研究には、Ramgarh隕石孔の起源を決定することが緊急の課題であり、地球におけるクレーターの歴史の研究に大きく貢献することになる。  

 

シバの隕石孔

インドシシリーにあるKTインパクト痕であるとされている断絶部分は‘Shiva クレーターと解釈されている。それはDeccan Trapsのたて600km、横450 km、深さ12 kmの長方形で内在する先カンブリア時代の花崗岩である。シバクレーターと解釈されるゆえんは、地表下の地層、地球物理学のデータ、ボンベイ沖合いの油田およびDeccan Trapsの関連したアルカリ性の嵌入物などである。シバにおけるクレーターのKT境界の年代はデッカの溶岩床、堆積物の暁新世?溶けた岩と思われるもののアイソトープの年代設定およびカールスバーグの割れ目から推測された。その構成は、複合衝突クレーターおよびその底部について形態学上の特徴を示している。すなわち、連なった先端に見られる部分的な隆起、環状の窪みと陥没した周縁など。Chatterjee Rudraはその長楕円の形は直径約40kmの隕石の西インド大陸棚への斜めからの衝撃が原因であると推測した。シバのクレーターとユカタン半島(メキシコ)のChicxulubクレーターの生成時期が同時であり、位置的にほぼ正反対のであることの重要性が強調された。Chatterjee Rudraはシバクレーターが衝撃に由来するという説を力説したが、変形が衝撃によることを示す決定的な証拠に欠けている。しかしながら現在、シバクレーターは“シバ隕石孔”といわれている。

 

 

翻訳者沢田直子氏へのメール